11/25〜12/1のSANFRECCE Diary


<01.12.1> Jリーグは昨日、今年度のJリーグ優秀選手賞と優秀新人賞を発表しました。優秀選手として選ばれたのはゴールキーパー部門が曽ケ端など3名、フィールドプレーヤー部門はウィルなど30名で、サンフレッチェからは上村選手がただ一人選ばれています。また優秀新人賞(新人王はこの中から選ばれる)を受賞したのは山瀬(札幌)、坂本(市原)、大久保(C大阪)の3名で、何と駒野選手は選外となりました。
 この受賞者について「優秀選手」になぜ久保や服部が選ばれていないのかも分からないのですが、それ以上に「優秀新人」に駒野が選ばれていないことにはとても納得できません。駒野はプロ入り2年目ですが、昨年は出場無しでしたので十分に受賞資格があるはず。今季は1st stage第3節で念願のデビューを果たすとその後コンスタントに出場し、U-20代表でチームを離れた期間を除くほぼ全試合に出場しています。出場時間数2012分は藤本、沢田らよりも多いチーム7位。これは完全にレギュラーとして定着しただけではなく、シーズンを通して安定した働きが出来ていたと言う事を示しています。更にプレーの面でも、最初の方こそプレーの判断にぶれがあったものの後半は大きく成長。特に最終戦では、鹿島のステージ優勝の立役者とも言えるアウグストと対等に渡り合ってその力量を示しました。この働きは昨年の新人王だった森崎和にも遜色の無いもので、私はてっきり今年も新人王が取れるものだと思い込んでいました。
 では、他の選手がそれ以上の活躍をしていたのか。駒野の成績を他の「優秀」な新人と比べてみます。
   試合 時間 先発 得点 アシ 採点
駒野   23   2012   21     1     3   5.94
山瀬   24   2006   22     3     2   5.94
坂本   19   1515   16     3     2   5.72
大久保 20    727    3     2     0   5.76

※「アシ」はアシスト。「採点」はサッカーマガジンの平均点。
 ただし全て手計算なので間違っている可能性があります。
 つまり、これを見る限りでは駒野は他の3選手より劣っているどころか数値的には上のところが多いのです。特に大久保は、出場試合数こそ多いもののほとんどが途中からの出場。最下位を独走したチームですらレギュラーを取れなかったわけで、他の3人と比べることさえ失礼な成績でとても表彰に値するとは思えません。このJリーグ表彰は誰がどういう基準で選んでいるのか知りませんが、なぜ駒野が選ばれていないのか、なぜ大久保を選んでいるのかぜひ説明してもらいたいものです。
<01.11.30> 「サポーターが選ぶ 2001年サンフレッチェ広島MVP」が行われていますが、その投票の締め切りは今日になっています。投票はV-POINTか吉田サッカー公園、あるいはオフィシャルホームページで受け付けており、ファックス(082-233-3251)でもご応募できます。いずれもお名前、ご住所、電話番号、MVPと考える選手名とその理由に応援メッセージを添えてお送り下さい。投票した選手のサイン入りレプリカユニフォーム(3名様)、投票選手サイン入り写真パネル(10名様)、来季ホームゲーム開幕戦指定席ご招待(ペア5組)が当たります。
<01.11.29> 一昨日のヴァレリー監督に続いて、昨日は選手の退団について明らかになりました。一人は94年のステージ優勝の立役者の一人で日本代表として「ドーハの悲劇」も体験した森保選手。チームとの話し合いで来季の選手としての契約は結ばないことが決まったそうです。今季は16試合に出場して若返ったチームを叱咤激励してきましたが、2nd stageは怪我の影響もあって出場機会が激減。わずか4試合76分間の出場にとどまっていました。今西総監督は彼のこれまでの功績を考慮し、スカウト等でのフロント入りを勧めているそうですが、本人にはまだプレーを続けたい意思があるそうで「僕が貢献できるチームを探すことになりますし、クラブにも探してもらうことになります」と語っていたそうです。
 そしてもう一人は、今季21試合1254分間に出場してDF/MFとしてチームを支えた奥野選手。1st stageこそサブとしての出場が多かったのですが、プロ意識を体現する選手としてチームに貢献し、1st stageのG大阪戦ではゴールも決めました。そして2nd stageに3バックを採用することが多くなるとスイーパーとして先発の機会が増え、終盤の強豪相手の3連戦には全て先発して3位浮上のために活躍しました。今後については「代理人に相談して...新しいチームを探してもらうことになりますが、そうではない結論(引退)もありますね」と語っています。
 更にこれまで出場機会の少なかった若手選手では、吉田、宮崎、寺内の3選手との契約を延長しないことが通告されたそうです。吉田、宮崎は今年が3年目。それぞれ特徴のあるプレースタイルで将来を期待されていましたが、与えられたチャンスをものにできなかったのが響いた形となりました。また寺内は今年が1年目。これまでのサンフレッチェで1年目の選手の契約を解除することはあまりなかったのですが、ユースの頃から見ていることからこれ以上の成長は難しい、と判断されたのではないかと思われます。3選手とも今後もプレーすることを希望している模様で、既に新しいチーム探しを始めている、とのことです。
<01.11.28> 昨日サンフレッチェは広島市内のホテルで記者会見を開き、ヴァレリー監督の11/27付けでの退任を発表しました。監督は今週一杯で広島を後にして2人の子供と孫の待つロシアに帰国するとのこと。天皇杯は木村孝洋コーチが代行として指揮を執り、後任監督は12月中に決まる予定です。
 今回の突然の退任の理由は、夫人のポリーナさんが病気に苦しんでいること。今夏の酷暑と高温多湿な気候も影響し、高血圧と糖尿病の合併症に苦しんでいるそうで、言葉の問題もあってロシアでの治療を望んでいるとのことです。そのためヴァレリー監督は4ヶ月前からモスクワに戻ることを考えていて、既に9月末には退任の意志をクラブ幹部に伝えていたそうです。これを受けてクラブ側は慰留に努めていましたが10月中旬に断念。後任としてはヴァレリー監督の推薦を受け、「ヴァレリーサッカーを継承できる人物」として経験豊富なロシア人指導者(元ソ連代表スタッフだとも言われている)に的を絞っており、既に10月下旬に来日して神戸戦の視察も行っていたそうです。しかしその事情を知っていたのは一部の球団幹部とコーチだけで、J1残留のために戦う選手達にも伝えていなかったとのこと。ホーム最終戦の後に発表してお別れを言う、と言うプランもあったそうですが、監督のこの成績では胸を張れない(3位でも不満らしい ^_^;)との思いもあって昨日の発表となったとのことです。
 それにしてもこの1年間、守備的で面白くないと揶揄されたチームを完全に作り替え、ほとんどメンバーが変わらなかったにも関わらずリーグ最多得点を争うほどのチームを作った手腕は見事なものでした。そしてそれは戦術的な面だけではありません。2nd stageのFC東京戦の後には初めて怒りを爆発させてチームを鼓舞して次の福岡戦で大きな力を発揮させ、東京V戦の敗戦でチームがどん底に落ちると選手との対話を繰り返し、また練習での緊張感を高めてその後の連勝につなげました。以前今西総監督は「良い監督とは苦しい時に立て直せる監督である」と語っていたそうですが、あれほどバラバラだったチームを1〜2週間でまとめ上げた手腕は水際立ったものでした。これまでバクスター、ヤンセン、トムソンと監督を見てきてそれぞれが良い監督だったと思いますが、ヴァレリー監督はこれらの監督の遥かに上を行く「凄み」を感じさせる監督でした。「アスリートマガジン」の今月号で沖原謙氏はヴァレリー戦術を「超現代的な攻撃と古風な守備」と評していましたが、それはあくまで過程の一つでしかなかったはず。今後は「攻撃も守備も超現代的」なサッカーが形作られていくことが予想できていただけに、それが未完成のままに退任されてしまうのは本当に残念でなりません。そしてそれ以上に「やっと監督の戦術が理解できるようになった」と言っていた選手達の無念さはいかばかりのものか、と思います。こうなってしまったからには気持ちを切り替えて、まずは天皇杯優勝の報告ができるように頑張って欲しい、と思います。(なお、記者会見の模様の全文を広島フットボール・紫熊倶楽部ホームページ内の「HFニュース」で読むことが出来ます。久保社長、今西総監督の談話もありますので、是非御参照下さい。)
<01.11.27> 昨日行われたW杯の最後のイスを争うウルグアイとオーストラリアのプレーオフは、ウルグアイが3-0で勝ってトータルスコア3-1で出場権を獲得。2回目の出場を目指したオーストラリアは3回連続でプレーオフ敗退となりました。
 ホームと同じメンバーだったオーストラリアに対して、怪我をしていたエースのダリオ・シルバを入れて必勝態勢のウルグアイ。このウルグアイはホームのサポーターの熱烈な声援を受けて、序盤から積極的に飛ばします。動き、パスの正確さ、ルーズボールへの反応など全ての点でオーストラリアを上回り、14分には後方からのロングパスを上手に身体を入れてキープしたダリオ・シルバがコースを狙ったシュートを決めて先制します。後半25分にはレコバの鋭いフリーキックに途中から出場のリカルド・モラレスが頭で合わせてトータルでもリードを奪い、更に終了間際にもレコバの折り返しを再びリカルド・モラレスが決めて止めを刺しました。ウルグアイは2点目を決めた時点で選手、監督共々大騒ぎ。最後はピッチ上の選手もベンチの選手も首脳陣も皆嬉し涙を流しながら出場権獲得を喜びました。ここまでの長く苦しい予選をようやくクリアして出場権を獲得したウルグアイの選手と国民には、心からおめでとう、と言いたいと思います。
 その上で敗退したオーストラリアですが、やはり心配していたチームとしての完成度の低さが響いたと言う感じでした。この日のゲームはポポヴィッチを怪我で欠いているもののほぼベストメンバー。プレミアリーグなど欧州で活躍する選手を揃えた面々が並ぶ「ドリームチーム」とも言うべきメンバーで、選手の名前だけを見ればウルグアイにも劣らないものだったと思います。しかしこの大事なゲームで見せたのは、単調で質の低いサッカーでしかありませんでした。コンフェデレーションズ杯で見せていた落ち着いたパス回しは消え失せ、ボールを奪ったら闇雲に前線に送り込むか、あるいは両サイドとキューエルのドリブル突破に頼るのみ。そしてせっかく相手ゴール前にボールを送っても、ほとんどのクロスは不正確で味方に合わずにシュートも打てません。更にシュートチャンスまでたどり着いても、他の選手の連動した動きが少なくすぐに身体を寄せられ、シュートコースに入られてゴールマウスを捉えることが出来ませんでした。厳しいW杯予選、相手の良さを消しあう戦いでやりたいサッカーが出来ないのは当然なのですが、そう言うときに対処する力、打開する力は経験によってのみ得られるもの。そしてこのオーストラリアの戦いは、個人の経験の総和が大きくても決してチーム全体の力とはなりえないことを示した、と言えるのではないでしょうか。厳しい予選を通じてチームを成長させることができなかったこと、欧州にいる選手ばかりで集まるチャンスも無かった事が、この結果として表れたと言わざるを得ない、と思います。そして、個人的にどうしても納得できないのはコリカを出さなかったこと。それは戦術的な面だけでなく、これほど代表を大事にし、どんな時にでも招集に応じてきた選手を使わなかった所に問題があったのではないか、と思えてなりません。このオーストラリアの敗退は、チーム作りで大事なことは何かと言うことをいろいろと教えてくれるものだった、と言って良いのではないでしょうか。
<01.11.26> 先週サンフレッチェの練習に参加していたU-17代表の茂木弘人選手の入団が確定的になった、とのニュースが昨日のスポニチに出ていました。練習終了後にチーム関係者に「お世話になる」と話していたとのこと。一昨日は鹿島戦を観戦して、その後U-18代表合宿が行われる磐田市に移動したそうです。茂木には広島のほか名古屋、仙台がオファーを出していると言われていましたが、育成のシステムが出来ていること、チームの練習の雰囲気が良かった事などが決断の理由だとのことで、12月に正式に契約を結ぶ予定だということです。ただ、今回明らかになったのはあくまで「内定」だということ。正式に契約を結ぶまでは、行方を見守る必要があると思います。
<01.11.26> 昨日行われた天皇杯1回戦で愛媛県代表の愛媛FCと対戦した広島県代表の福山大学は、2度リードを奪いながら後半終了間際に追いつかれ、最後は惜しくもVゴールで敗れました。またその他の中国地方のチームは、鳥取県代表のSC鳥取以外は全て敗れました。更にサンフレッチェと対戦することになる山からは、ベガルタ仙台とFC KYOKENが勝ち上がりました。
<01.11.25> 国立競技場で鹿島と対戦した開幕から8ヶ月。山あり谷ありだった2001年シーズンを締めくくったのは、同じ鹿島に対する素晴らしい戦いでした。昨日ビッグアーチで行われたホーム最終戦は4-1で完勝し、監督の笑顔、選手の雄叫びに19,423人の歓声がこだましました。
 森崎和を出場停止で欠く広島は、リーグ戦初先発の松下をボランチに入れて次のような布陣でした。
        下田

    オレグ 奥野  上村

駒野              沢田
      松下  桑原
      (→森保72分)
        藤本

      大木  久保

SUB:加藤、トゥーリオ、梅田、スカチェンコ
 開始早々に松下はワンタッチで藤本へパスを出してチャンスを作りますが、その後はポジションが定まらずに中盤を漂います。相手からボールを奪うことはできず、パスを受けに顔を出すこともなく中途半端な位置取りで全く試合に関われません。そのためか序盤はどちらかというと鹿島のペースで、広島の攻撃は読まれてパスをカットされ、平瀬のクロスや柳沢のシュートなどが広島ゴールを脅かします。しかし、そこで鹿島に行きかけていた流れを引き寄せたのは駒野でした。前半12分、右サイドを突破しようとしてFKを得ます。これを駒野が右足で蹴ると、鋭く糸を引くようなボールは一直線にゴール前へ。これに大木がDFに競りながら頭で押し込み、先制点を奪いました。この日の駒野は守備、攻撃ともに素晴らしい出来で、18分と43分にも速いクロスを大木に合わせるなどチャンスメイク。対面のアウグストと堂々と渡り合い、この1年間の成長を見せつけました。
 前半は、しかしその後もどちらかというと鹿島ペース。小笠原が自在に動いてゲームメークし、平瀬、柳沢を走らせてチャンスを作ります。しかしサンフのDF陣と下田は集中力高く守って決定機を作らせず、またFWは前線からボールを追い回してプレッシャーをかけ続けます。松下も19分に放ったロングシュートのあたりから徐々に落ち着いてゲームに参加するようになり、41分には思い切って放ったミドルシュートがクロスバーを激しく叩いて観衆を沸かせます。前半はお互いにチャンスは作るものの一進一退で、我慢比べのような様相のまま終わりました。
 後半も両チームとも同様の立ち上がりでしたが、そこで流れを決定的に引き寄せる働きをしたのがエース・久保でした。後半5分、藤本が中央をドリブルで攻め上がってDFを引きつけ、左サイドを走る久保にボールを出します。久保がダイナミックなフェイントをかけてペナルティエリアに入り込むと、名良橋は思わず足をかけてしまいます。これで得たPKを蹴るのは久保。左足から放たれたシュートはネットを突き破らんかの勢いでゴール!久保自身今季2点目となるPKでの得点は、その後のサンフの総攻撃開始の狼煙となりました。
 その直後には駒野のクロスから久保がシュートし、更にその後こぼれ球を次々と拾って波状攻撃をかけます。長短のパスが小気味よくつながり、鹿島のDFはゴール前に釘付けになります。流れを変えたいトニーニョ・セレーゾ監督はどこかを痛めたファビアーノと機能していなかった野沢に代えて青木と内田を投入しますが、焼け石に水。16分には左サイドからの間接FKを松下が蹴って強烈な弾道が鹿島ゴールを襲い、20分には久保が左足で放ったミドルシュートが右ポストを叩き、スタジアムがどよめきます。そして後半23分、ついに試合を決定づけるビッグプレーが飛び出します。藤本が中央をドリブルで突破するとゴール前に走り込んだ大木にパスします。大木は細かいステップでDFをかわすと、小さな足の振りからまるで針の穴を通すような鋭いシュート!このボールは高桑のわきの下を破って、今季8つ目となるゴールを奪いました。
 そして後半30分。エース久保のプレーが鹿島にとどめを刺します。藤本のパスで抜け出した久保がゴール前へ。GKをもかわしますがシュートのタイミングを逸していったんはチャンスを逃したかに見えました。が、大きな切り返しで内田をかわすと左足で強烈なシュート。これはカバーに入った秋田の股を抜いてゴールに飛び込み、駄目押しとなる4点目をゲットしました。その後セットプレーから名良橋に1点を返されますが、鹿島の反撃もそこまで。2nd stage王者を圧倒する素晴らしい戦いぶりで、94年のステージ優勝以降最高の3位という順位をチーム全員の力で引き寄せました。
 この試合は、確かに鹿島は大幅にメンバーを落としていました。先週優勝した事によるモティベーションの低下もあったでしょう。しかしレギュラーメンバーを複数欠いていたと言う意味ではサンフも同じ。また3位の可能性があったとはいえ市原、名古屋、柏が揃って負けることが条件だったわけで、来週にチャンピオンシップを控えるチームよりも強いモティベーションがあって当然とは言えないでしょう。にも関わらず鹿島を圧倒できたのは、ひとえに選手とチームの成長の賜物。今一つゲームに入り込めなかった若手選手を全員の力でカバーし、流れが悪くなりそうなところを自らの力で強引に引き寄せる姿はどちらがチャンピオンチームか分からないような戦いぶりでした。この8ヶ月間、苦しんで苦しんで作り上げてきたヴァレリーサッカーは、単なる攻撃サッカーでは無かった。どんな時でも下を向かずにアグレッシブに戦うこと。チーム全員が団結し、ミスをカバーしあって戦うこと。そう言うチームに取って一番大事なことを学ぶための期間だった、と言って良いのではないでしょうか。「今のチームならばどこにでも負ける可能性はあるが勝つ可能性もある」とは2nd stageの中盤に上村選手が語った言葉だったと思いますが、先週と今週のゲームはその言葉が本当である事を証明しただけでなく、「勝つ可能性」が「負ける可能性」を凌駕しつつある事を示したものだった、と言えるのでしょう。次のゲームは2週間後、12/9の天皇杯3回戦です。それまでに身体と心のコンディションを整えて、今度は元日での歓喜を目指して頑張って欲しいものです。
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