3/2〜3/8のSANFRECCE Diary


<08.3.8> 明日はいよいよ今年のリーグ開幕戦。サンフレッチェの対戦相手はザスパ草津です。
 昨シーズンは11位と3年連続で2桁順位だった草津ですが、今年は不安定だった守備陣をテコ入れし、また中盤には島田、熊林とJ1での経験のある選手を補強しました。その結果チームのレベルアップが見られたようで、宮崎キャンプからの練習試合で敗れたのは大宮との1試合のみ。仙台、岐阜、湘南、全北現代との対戦を3勝1分けで終わるなど上々の仕上がりを見せています。一昨年の開幕戦ではJ1から降格してきた神戸を相手に島田が大暴れして、3-0で破った経験を持つ草津。明日はそのアップセットの再現を狙ってくるに違いありません。
 対するサンフレッチェですが、携帯サイトによると盛田が練習に復帰していて、ダバツも調子を上げてきているとのこと。明日の試合は李が出場停止と言うことで、右WBに森脇を上げて盛田かダバツを起用することになりそうです。
        木寺

    槙野 ストヤノフ 盛田

      青山 森崎浩

森脇              服部
        高萩

    佐藤寿     平繁

SUB:下田、戸田、桑田、ユキッチ、久保
 キャンプ中での練習試合では簡単な失点が多く、昨年抱えていた弱点が解消されていないような感じでしたが、スーパーカップでは2失点の後はしっかりと失点を防いで追いつく粘りを見せました。今年はJ2での戦いと言うことでボールを支配する時間が長くなると思われますが、大事なことは点が取れなくても焦らないことと、つまらない失点をしないこと。そのためにはスーパーカップの後半途中からのような、チーム全体で心を一つにして戦う姿勢が重要なのではないでしょうか。明日は何としても勝ち点3を取って、好スタートを切って欲しいものです。
<08.3.6> 各紙報道によると、ゼロックス・スーパーカップで主審を務めた家本政明氏がJリーグ開幕から数試合、主審を外れる見込みになった、とのことです。これは広島にPKを与えた場面などを不服とする鹿島の意見書を元に日本サッカー協会の審判委員会で審議し、その結果出た結論だったとのこと。同日川淵キャプテンも「ゲームコントロールが悪かった」事を問題視する旨発言していたそうです。
 サッカーで審判の判定に不満があることは良くあることで、私も試合中にはそう思って見ていることも多いのです。しかし、サッカーはもともとそう言うスポーツ。審判にミスがあっても止むを得ないと言う事を前提に、それでもその笛に従ってプレーするのがルールです。そしてその合意がなければ、そもそも試合は成り立ちません。スーパーカップの家本氏は確かに目立ちすぎで、9枚のイエローカード(全部で11枚出したことになっているが2枚は試合後)には疑問の残るものがあるのは確かですが、しかしだからと言って誤審だとまで騒ぐほどのレベルではないでしょう。特に鹿島が疑問視したと言う久保のPKはどちらとも取れるシーンだし、PK戦での蹴り直しは完全にルール通り。審判部も「判定自体はほぼ間違いなかった」との見解を出していますし、その点では負けたのを主審のせいにしたかのような鹿島の対応は、「王者らしくない」としか言えません。
 ただ、主審には試合をコントロールする義務があって、家本氏にそれが出来なかったのも事実。岩政と李への1枚目の安易なイエローカードを出したことで何でもないプレーにもイエローを出さざるをえなくなり、それが選手の信頼を失ったのは確かだ、と思います。もともとカードを乱発する「癖」のある家本氏が笛を吹いたらこうなることはある程度は予想可能だったわけで、それを考えずにプレーした選手(特に鹿島の選手)と、そしてそう言う主審の割当をした審判部に、この混乱の責任があると言って良いと思います。この間のマスコミ報道を見ていると人気チームの鹿島に肩入れしたようなスタンスが目に付いて腹立たしい事この上ないのですが、そんなことよりも「このような試合でJ2のチームが勝つのは良くない」と言ったらしい鬼武チェアマンの言葉や、試合後に鹿島サポーターがピッチに乱入したことこそ問題にすべきなのではないでしょうか?
<08.3.5> 日本サッカー協会は昨日今週末から行われるU-19日本代表候補メンバーを発表し、サンフレッチェユースからは岡本が選ばれました。今回選ばれたのは次の20人。
【GK】権田(FC東京)、大谷(浦和)、大久保(横浜FC)
【DF】須崎(磐田)、鈴木大(新潟)、金井(横浜FM)、佐藤(名古屋)、
    吉田(甲府)、岡本(広島ユース)
【MF】加藤(京都)、鈴木惇(福岡)、中田(横浜FC)、青木(大宮)、
    酒井(柏U-18)
【FW】永井(福岡大)、山崎(磐田)、白谷(C大阪)、宮澤(札幌)、
    大津(柏)、瀬沼(桐光学園高)
 「カタール国際」の遠征に参加したメンバーのうち松本(順天堂大)、浦田(横浜FM)、香川(C大阪)、廣瀬(山形)、山本(磐田)、比嘉(柏)、大前(清水)が外れ、大谷、吉田、加藤、酒井、大津が入っています。このメンバーは3/9から熊本県でキャンプを行い、熊本、鳥栖とトレーニングマッチを行う予定です。
<08.3.4> 中国新聞によると、2月に「グロインペイン症候群」の手術を行った森崎和幸選手が昨日、チームに合流しました。クロアチアでのリハビリを終えて2/28には帰国していたそうで、スーパーカップは自宅でテレビ観戦していたとのこと。手術前にあった痛みも無くなったそうで、「回復はイメージ通りに進んでいる」のだそうです。順調に行けば、今月中にもゲームに復帰する可能性があるようです。また左足首痛で1ヶ月以上別メニューが続いていた盛田もフルメニューをこなしたそうで、開幕に向けてチーム全体の体制が整ってきました。
<08.3.3> 昨日サンフレッチェは広島駅南口地下で「開幕イベント」を行いました。中国新聞によると約2,000人のサポーターが集まったとのことで、ペトロヴィッチ監督と選手25人がゼロックススーパーカップの優勝カップを披露すると、大きな拍手とともにサンフレッチェコールが沸き起こったそうです。またトークショーやサイン会、お好み焼きを食べたりサンフレッチェ電車に乗るイベント等で、選手とサポーターが交流しました。
<08.3.2> 昨日国立競技場で行われたゼロックス・スーパーカップはサンフレッチェが劣勢をはね返して追いつき、最後はPK戦を制して初優勝を飾りました。
 怪我人続出のサンフは、大分戦と同じ先発メンバーでこの試合に臨みました。
        木寺

    森脇 ストヤノフ 槙野

      青山 森崎浩
      (→ユキッチ73分)
李(退場38分)          服部
        桑田(→高萩45分)

    佐藤寿     平繁(→久保57分)

SUB:下田、ダバツ、戸田、遊佐
 対する鹿島の先発は天皇杯決勝と全く同じで、GK:曽ケ端、DF:内田、岩政(退場12分)、大岩、新井場、MF:野沢(→中後75分)、本山、青木、小笠原、FW:田代(→ダニーロ83分)、マルキーニョス。立ち上がりは鹿島の前からのプレッシャーがきつく、なかなかボールを繋げない展開が続きます。9分にはCKのクリアボールを小笠原がダイレクトボレーでシュートしましたが、ボールは幸いにも木寺が正面でキャッチします。強まる鹿島のプレスに広島は防戦一方となりましたが、しかし流れが変わったのは前半12分のことでした。ペナルティエリア内でボールを保持する木寺に対して岩政が後から忍び寄り、膝でボールを蹴って奪おうとします。しかしこれを非紳士的プレーと取られてイエローカード。7分にも佐藤寿を削って警告を受けていたため、2枚目ということで容赦なくレッドカードが提示されました。
 1人少なくなった鹿島は青木をDFラインに下げ、守り重視の布陣に変更します。これで攻めを構築できるようになったサンフは、ツートップのコンビネーションで、あるいはサイドからの突破からチャンスを作ります。そして28分には森崎浩がミドルシュートを打ったもののGK正面。32分には李のクロスがそのままゴール枠を襲いましたが、曽ケ端がフィスティングで逃れます。鹿島も体勢を立て直して、34分には田代が、野沢がシュートを狙ってきます。そして38分、左サイドを突破した新井場に李がレイトタックルを浴びせてイエローカード。これが2枚目ということで退場になり、数的有利が無くなります。前半は両チームとも守備を重視した戦い方で、見せ場も多くないままに折り返すことになりました。
 この状況を打開するため、先に動いたのはペトロヴィッチ監督の方でした。桑田に代えて高萩を投入して前線の起点となれる選手を増やし、森脇を右SBにした4バックに変更します。しかし練習でも試したことが無い布陣だったと言うことで混乱したか、マークのズレからピンチを迎えます。1分の内田のクロスは何とかクリアしたものの、4分にはこぼれ球を拾われ本山がシュート。ゴール前まで下がった槙野が飛びついて足に当てたもののわずかに及ばず、ついに先制点を許してしまいました。6分の内田からのクロスから田代と言う攻撃はオフサイドに助けられたものの、7分には自陣でのボール回しを奪われて小笠原がパス。これを野沢が豪快に叩き込んで、あっという間に2点のビハインドを背負うことになりました。
 この後も鹿島は田代が、新井場がシュートを放って広島ゴールを脅かします。何とか反撃したいサンフは、後半12分に久保を投入しますが、これで流れが変わります。16分にはストヤノフのフィードボールに久保が競りあい、目測を誤った曽ケ端もとれずにあわやと言うシーンを作ります。17分にはペナルティエリア内で倒されたもののノーファウル。20分にもペナルティエリア内でボールキープするなど、高さとキープ力で鹿島の守備陣に脅威を与えます。ペトロヴィッチ監督は更に攻撃の姿勢を強めるためにユキッチを投入。彼の技術の高さと視野の広さで攻撃が加速します。そして33分、右サイドからドリブルで入り込んだユキッチがシュートと見せかけてスルーパス。これを受けた佐藤寿(高萩かも)が流したボールに行こうとした久保を青木が倒してPKを得ます。そしてそのボールを自ら蹴った久保が昨年の開幕戦以来のゴールを決めて、サンフは1点差に詰め寄りました。
 田代に代えてダニーロを投入して、逃げ切りを図る鹿島。サンフは高い位置でボールをキープし、サイドから、あるいは中央から攻めを構築します。そして40分、左サイドを駆け上がった服部が左足でクロス。久保がDF2人を引き連れて空いたスペースに流れた佐藤寿が、のけぞりながら頭に当ててゴールに流し込みます。そしてその後は両チームとも勝ち越しを狙って激しく攻め合ったものの決定的なシーンを作り出すことが出来ず、PK戦で決着を付けることになりました。
 鹿島の先攻で始まったPK戦。鹿島はマルキーニョス、中後、小笠原が決めたもののダニーロ、本山が外します。逆にサンフはユキッチは止められたものの森崎浩、ストヤノフ、槙野、佐藤寿が決めて、初めて国立競技場のメインスタンドで高くカップを掲げることが出来ました。
 この試合のポイントは、怪我人続出でメンバーが揃わない中でどのように戦いを構築するか、と言うことだったと思います。選手個々の技術が高く組織的な完成度も高い鹿島は、どう考えても広島よりも実力上位。そこに対して守備重視の戦い方で臨むのはある意味当然で、前半はそのミッションを果たすことが出来ていたと思います。李の退場は余計でしたが、しかしその穴を突かれながらもDFラインが良く踏ん張って前半は試合を壊さずに済みました。
 しかし後半、4バックに変更して守備が混乱した事が試合が動く要因となりました。1点目はクリアボールが本山のところに飛んでやや不運な面がありましたが、2点目は自陣でボールを繋いでいるところを奪われて、相手のキープレーヤーをフリーにして叩き込まれてしまっています。そしてその後も鹿島の攻勢をまともに受けて、3点目を失うのも時間の問題か、と思われました。
 ところが久保の投入によって、試合の流れは再び広島に来ました。「規格外」のプレーこそ見せなかったものの懐の深さと高さ、動き出しの速さはさすが、とも言うべきもので、久保がいるだけで鹿島は引いてDFラインを固めるしかありませんでした。そしてそのため空いた中盤のスペースを上手く使ったのがユキッチで、ピッチを縦横に動いてリズムを作りました。この2人ともコンディションが今一つと言うことでベンチからのスタートとなりましたが、調子が上がれば間違いなく主力としてチームを引っ張る存在になることは間違いないでしょう。
 そしてこの試合で最も重要なのは、キャンプで一度も勝てなかったチームが、PK戦の末とは言え勝利を得た、と言うことに尽きます。長丁場のJ2で、しかもフル代表や五輪代表に選手を引き抜かれる可能性を考えれば、昨日のようにメンバーが揃わない中で戦わなければならない、と言うことは今後も十分にあり得ます。そんな中でも我慢して試合を進めること、劣勢になっても諦めないで戦い続けることが、J1昇格を勝ち取ることができるかどうかの鍵である、と言えます。この、昨年はなかなかできなかったことが、シーズン最初の試合でチャンピオンチーム相手に出来たということは、チームにとって大きな自信になったのではないかと思います。スーパーカップを終えた今日からは、「J2」と言う現実に向けて、再びスタートしなければなりません。しかしサンフレッチェとしては14年ぶりの「優勝」と言う称号は、チームと選手にとって大きなものとなるに違いありません。

日刊スポーツスコア
中国新聞戦評1 中国新聞戦評2
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