97/11/30 12:59

第77回天皇杯第1回戦

観衆 1,600

群馬県営ラグビーサッカー場

前橋商業高校

0

0

前半

2

6

福島フットボールクラブ

0

後半

4

得点

竹元(23分)、宗像(42分)、鋤柄(46分)、瀬川(52分)、川田(68分)、川口裕(81分)、

警告

碓氷(30分)、馬上(77分)

前橋商業高校

福島フットボールクラブ

GK

中村

0

GK

菊地

0

DF

上田

0

DF

桜井

0

中島

0

宗像

2

東田

0

碓氷(59分河原)

0

神保

1

MF

馬上

0

MF

大和(80分増田)

0

八城

1

斎藤

0

川田

6

春山(36分井口)

0

水島

1

小仁所

0

鋤柄(55分波立)

2

FW

富沢

0

FW

瀬川(71分川口裕)

3

坂本

1

竹元

4

Sub

中里

Sub

川口晃

増田

0

河原

1

瀬間

波立

1

鈴木

松木

井口

0

川口裕

1


牧田 令さん(HQJ07175@niftyserve.or.jp)による
「【天皇杯1回戦対前橋商】観戦記」

冬型の気圧配置の元、強風が吹きすさび、気温17度という温かさが 微塵も感じられない状態でゲームは始まった。(ひなたは暖かかった そうだが、福島サポーター後一行様が陣取ったところは日陰で、 北風をまともに受け、極寒!)

DFの核小西を怪我で欠き、桜井をCB、右に宗像、左に碓氷(DFとしては 久しぶり)という、最終ライン。中盤は碓氷と桜井の両SBが後ろに 下がったため、馬上を右に置き、スピードを重視した布陣。 トップは予想通り、竹元と瀬川の2トップ。 控えは怪我から復帰した河原と、なぜかベンチにいる波立。そして、 いつもどおり、松木と裕之。高校生が相手という事でか、クラッシャー だからかどうか、波立はベンチでテスト的なDF。

コイントスで勝利した福島は風上を取り、前半で一気に決めようという 様子。しかし、前半は苦労するのであった。

対する前橋商業は4-4-2のマンマーク。お年寄りのいる福島をマンマークで 疲れさせようという布陣。特にディフェンシブになる事も無い。

技術的には数段上の福島が優勢にボールを支配し、時折前橋商業が攻める というほぼ予想された形でゲームは進む。福島は中盤から左右に散らし、 ほおりこむという手法を使うが、悲しいかな、中央の竹元に届かない。 180CM近い前橋商業DF陣にことごとく跳ね返される。

前半20分頃、右からのほおりこみが中央で待ち受ける竹元の頭に ドンピシャであたり、ボールはゴール・・・・・の左に外れる。 これは、、、、嫌な雰囲気が漂う。

その後カウンターから群馬商業坂本がラインを突破する。GK菊池は果敢に 前に出てボールをクリアにかかるが、チップして菊池をぬいたボールは 一目散に福島ゴールに転がる。両手を挙げて喜ぶGK中村とバックスタンドの 前橋商業応援団。我々も失点を予感した時運命は前橋商業から顔を背けた。 ゴールに向かって転がっていったボールはおりからの強風に押されて 右へ右へとそれていく。そして、ゴールラインを越えてしまう。後1m内側に 蹴られていたら、勝負はわからなかった。前半の最大の見せ場はこうして 前橋商業には辛い結果をもたらした。

気を取り直して福島が再び攻める。そして、前半23分。右の鋤柄から水島に 出されたボールを水島が中央にほうり込む。ゴール前で待ち受ける竹元は 相手DFを体格に任せて押しのけながらヘディングでゴールにほおりこんで 福島が先制する。

その後は一進一退の中、ゲームは経過する。ともかくハイボールの支配が 福島はできない。中盤に大きな選手のいない福島は、リーグ戦からの課題を 引きすっている。水島のミドルシュートもあったが、見せ場にかけたまま 前半は終盤にかかる。

前半42分。CKを福島は得る。「誰に点を取らせようか?」「宗像がいい」 なんてことをかたりながら始めた宗像コールの中、水島の蹴った ボールは・・・・・宗像の頭に飛ぶ。宗像としても、昨年福島に入団した 県民選手としても、公式戦初ゴールであった。 時間的にいい時間でのゴールであった。

前半は相手を坂本のシュート一本に押さえながら、フィニッシュまで持 ち込めず、シュート6本に押さえられる。それでも2点入ったのだから 悪くはない。

後半、福島はFW瀬川や、MF馬上のスピードを重視した攻めに変え、 一対一の場面では疲れの見える前橋商業の選手を技術でかわしにかかり、 これが大きく作用する。

まず、再開直後の46分、中央の鋤柄から前右寄りの瀬川にスルーパス。 スピードに乗ってゴールへ向かう瀬川をたまらず前橋商業DFが引っかけて 倒す。主審の指はペナルティスポットを指し、福島にPKが与えられる。 これを落ち着いて鋤柄が決め、福島が幸先良く追加点を手にする。

4点目はすぐにやってくる。中央の宗像から鋤柄に出されたボールは すぐに瀬川に出され、GKと一対一のような形になる。これを落ち着いて 瀬川がGKを抜き、ゴールゲットする。前橋商業は福島のスピードに ついて行けず、ずるずると点差を広げられてしまう。

ここで59分、足に不安のある碓氷に代って怪我から復帰した河原を投入する。 結果的にこれはいい方向には向かわなかった。調整の意味もあったと思うが、 怪我をした後、公式戦には出ず、練習試合を経験しただけの河原は ゲーム勘が取り戻せておらず、ボールコントロールが不安定。 特に長いパスは出せず、弱いパスが近距離に出されるだけで、前橋商業に そこをつかれはじめる。ただ、流れは前橋商業には向かなかった。

前橋商業は時折ボールを持つものの、なかなかゴール前に持ち込めず、 ボールを奪われては馬上を中心にスピードある福島の攻めを受け、前半は 一対一では川田や瀬川からボールを奪っていたのに、後半はフェイントや ターンについていけず、疲労がどんどんたまっていく。

福島は馬上や桜井の独走ドリブルなど見せ場を作り、時折攻められるものの、 前後半を通じてDFラインはオフサイドにかけまくり、前橋商業の攻撃を 未然に摘み取っていく。ゴール前に持ち込まれても、GK菊池に渡る前に 事前に跳ね返したり、CKに逃げていく。

68分、左側にいた八城から中央に瀬川にボールは出されドリブルでDFを 揺さぶった後、やや右寄りにいた川田へ。川田はシュートを放ち、 GKの手先をかすめてゴール左隅にシュートが決まり、5-0。

この後、前橋商業は福島DFのミスをついてゴール前にボールを持ち込み、 MF神保がシュートを放つが、バーに嫌われる。

81分、途中(71分)に投入された川口裕之が6点目を挙げる。 右側の水島がオーバーラップしていた馬上にパスをだし、 馬上は左前で待ち構える裕之に浮球のパスを出す。 これを相手DFと競り合いながらヘディングで打たれたシュートは GKの頭上を越え、ゴールに吸い込まれる。

この後、特に見所も無く、ゲームは終了する。

前半は苦労したものの、しっかりと先取点・追加点を挙げれた事が、 後半の大量点につながった。一年30試合、JFLで戦い、培われてきた体力が 若い前橋商業の体力を上回っていたともいえる。また、技術的には 明らかに福島の方が上であり、特に後半はリーグ戦ではあれほど勝てなかった 一対一で勝てたのも勝因であった。

前橋商業は高校生らしく、大量失点にも関わらず、最後まであきらめずに プレーしていた。時折中盤できれいなパス回しを見せるものの、それが続かず ミスでボールを奪われる事が多かったのが惜しまれる。汚いファールも無く、 すばらしいチームであった。高校選手権での活躍を期待したい。

前橋商業のホームでの開催となったため、一部の福島な人々を除けば、 総前橋商業サポーター状態。審判もやや前橋商業に甘かったような 気がしたが、反スポーツ的行為でイエロー二枚はちょっといただけない>福島

高校生相手で負けられない。自分たちの将来のためにも負けられない。 そういうプレッシャーの中で立ち上がりは苦戦した福島であったが、一点目を とった後は非常に良い感じでゲームを進める事ができた。その直前に非常に 危ない場面があったのだが、そこで1点を取られていたら、、、ぞっとする。 何といっても、先取点を取れば福島は今季13戦13勝である。

勝って当然なゲームを制した選手は、ゲーム後はほっとしたような顔つきで あったが、チームの話しになるとやはり一様に不安げな顔を見せていた。 数日前までは前橋にくる事になっていた在福島のサポーターの一部は郡山で 署名活動を行うために、前橋にくる事ができなかった。署名活動には 当日は選手の一部も署名活動をされたと聞く。次回はホームの一ついわきGF でのゲームである。福島の闘う姿を県民にアピールして欲しい。そして、 日本平に向かわなければならない。 普段は余計なプレッシャーを選手にかけたくはないが、今年の天皇杯は 崖っぷちのプレッシャーを否応にも選手は感じなければ、恐らくいけない のだろう